突然の君の訪問。
ザアザアとやかましく雨の降る日、インターホンが鳴った。また勧誘かと映像を確認するも、誰も映らない。
「はぁ、いたずらか」
ピンポーン!
点灯した画面には、やはり誰もいない。画面に映らない場所を把握しているのか?手の込んだイタズラをする奴もいたものだ。イタズラ好きの奴なら一人、心当たりがある。
そっと玄関のドアを開ける。
「や、久しぶり」
まあ、そうだよな。分かってたさ。
こいつは沢田。いつも余計なイタズラをする奴だ。本人曰く、人の驚く顔が好きとのこと。人騒がせな奴だよ。
「沢田……!」
「あっはは!びっくりした?」
「なんでここに」
「お前を驚かせたかったから、だけど?びっくりした?」
沢田はすっと部屋に上がる。
「そりゃ、もちろん。お前、昔と変わんないなあ」
「……」
分かってるさ。
沢田は15年前、橋から川に落下して死んだ。手ぶらで雨に濡れてないのもそのせいだろう。
「あそこの崖で土砂崩れあったの分かる?慰霊碑どっかに埋まっちゃったんだ」
「……掘り返しに行こうか?」
「大丈夫。……さて、俺がどうしてここに来たのか、分かってるよな」
分かってるさ。
「俺を驚かせたかったんだろう」
「そのつもりだったんだけどな、俺の方が驚かされたよ。俺が崖から落ちたことになってるし、お前が無実ってことになってるし……」
数日後、マンションの一室で男性の水死体が発見された。
8/28/2024, 9:07:26 PM