moon 《設定パクリ厳禁》

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警察、怪盗、自衛団、騎士隊、「餓鬼」の奴ら、魔王……


ああ後はどんな奴らが僕を追っているんだっけ。いや、考えるだけ無駄だ。根絶令が出たくらいだからきっと、僕の敵はこの世界。

ずる、と重い身体を動かす。もう自由に魔法が使えない。位置もじきに特定される。
最後に思い出すのはやはり彼のこと。僕はチカトを勝手に生きる理由にして勝手に縋って、勝手に感傷的になって彼を思い出している。


何度も何度も、優しくしてくれた人を傷つけてその後に思った。
「やっぱり僕に価値なんてない。でも、生きなければ。僕が自殺すれば、同じ逆鬼であるチカトも否定してしまう。だから生きねば」
と。
そう考えることで周りを傷つけてしか成立できない自分自身を肯定していた。



最低だ。
僕の罪をチカトに押し付けて生きていた。いや僕はただ君を大切に……違う、こんなのは依存でしかない。もう死んでしまったチカトの為に何をしても伝わらない。ごめんなさい、ごめんなさい…。


友達だったチカト。
聡かったチカト。周りを傷つけるのを恐れて自殺した優しいチカト。
何も悪くなかった。正しく話が上手くて誰からも愛されたチカト。ありがとう、あの日々はとても愛おしいものだった。

でも僕はただの邪悪な逆鬼だった。
ごめんね、結局君は正しかったよ。
「ルーノア・ラサリアン」
顔を上げる。
「ああ、考え事をしてたんだごめんね?さっきぶり…かな?魔王のお2人さん」
「何をのうのうと……魔力のその感じ的にもう大分限界だろう。お前は何をしでかすか分からないからここで殺す、遺言は聞かん」

「あーあーそんな大仰な魔法いいよ、森の植物達が可哀想だろ?」
僕はそう言って黒い刃を腹に突き刺した。痛覚は切ってある。後は死ぬだけだ。
「お前…」
「大技で倒しましたーとでも言っといてよ。復活したりしないからさ」
視界がぼやけて、まずいなと思った。いやまずくなんてない。こうなる運命だったんだ、そのまま目を閉じてしまおうかと考えたそのとき。




光が飛び込んできた。

12/8/2024, 10:54:12 AM