どうしても手が動かない。脳にコールタールをかけられたように、ただ日常の雑事の順序(順序!)を考えるだけで精一杯だ。
書きたいのか書きたくないのか。
書けばきっと楽しいだろう。指先も目も体も気持ちもそのとき通り抜けるなにかを好んでいる。たぶん、待ち侘びてもいる。
でもギアが。
マニュアルにいれたいのに、切り替えたが最後、このオートマで動く日常にある必要な合間が消える。
すると、家族との雑談が減り、電車で酔うようになり、買い忘れが増えて、睡眠時間が縮む。
睡眠時間が縮む。そんな。すでに寝足りないのに。
ということは、寝るべきなのだ。たっぷり寝て、そうすればギアを切り替えることができるようになる。コールタールは溶剤がいるんだったか。だから、余裕を。のうみそに。
しかしいつ寝るべきか。朝の時間は決まっている。それをずらすために相談すべき相手が無限にいてとても無理だ。起きる時間はずらせない。寝る時間をはやめたらいいのか。しかし、家の者全てが寝静まったあとにほんの5分でいいから起きていたいのだ。関わろうとしてくる声や手が現れないところで5分でいい、息がしたい。1人になる時間が欲しい。他人の気配がなく、不意に話かけられる心配も呼ばれる心配もない時間が欲しい。自分だけの拙い言葉を気の済むまでこねくり回し、時々踊って、時々歌って、時々はリズミカルにキーを叩いて、問いかけも応答も自分からしかやってこない時間。
自分の中からしか意外性がやってこない時間。
その幸せな時間は、書けば立ち現れるのだった。
4/1/2026, 6:46:39 AM