題:夏の予感
夏の予感がする。
そう言った友達はこの海の街で、
最も美しい花となる。
彼女は言う。
「私は、この街の1番で良いの。それに誰かに抜かれてもいいわ。私の上なんて山ほど居るのだから。この街の1番で良いの。」
そう言って美しい花を手に取る。
彼女は言う。
「もし私よりも良い方がこの街に居るのなら、美とは何か教えて欲しいわ。」
そう言って古ぼけた本を手に取る。
私は知っている。
「彼女は心の本質から負けず嫌いだと。」
そう言って美しい花を植え直す。
私は知っている。
「彼女は自分より美しい人がこの街に来てもきっと蹴落とすと。」
そう言って古ぼけた本を棚に直す。
夏の予感がするわ。
彼女は言う。夏が嫌いだと。
この街は夏、有名な観光地で色んな方が訪れる。彼女はその中に居る美しい人々が大嫌いなのだ。
私は夏も彼女も観光客も嫌いじゃない。
でも好きではない。
美しい物が好きなのだ。美しい「物」が。
かほです
6/29/2025, 4:51:07 AM