たぬたぬちゃがま

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「空は、ピンク。」
ぺたぺたと彼女は絵の具を乗せる。
「太陽は、白!」
まるで自分に教えてみせるように。
そして、宣言するかのように。
「地面は……あ、お……?」
「急に自信無くしてるな。」
そういうと、彼女は振り返りムッとした顔をした。
「微妙な色なんだよ。こう……ふぁーっていうか、どぅるーっていうか。」
「わからん……。」
彼女の例えは分かりづらい。こうして絵にしているのを見ると、彼女の思考回路が表されている気がするが、独特な色使いは人を選んでいるようにも見えた。
「本当はね、ここのピンクもこう、きゅるーんというか、そう、むっとり!」
「わからんて……。」
ブツブツ言いながら絵に向かう彼女は、正直変人だ。しかし、きらきらとした目が、彼女自身も見られない美しい目が、映し出したものを共有していると思うと、このやりとりをしているのも悪くないと思えた。


【君が見た景色】

8/15/2025, 11:14:12 AM