たろ

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《眩しくて》

緩やかに差し込む陽射しは、自然そのもの。
漆黒の闇をゆっくりと白ませながら、夜から朝へとカーテンを開くように少しずつ明るくなっていく。
(あぁ、朝が…。)
すわ、漆黒の闇夜に呑み込まれるのではと、恐れ慄く身体の強張りが緩んでいく。
夜は塗籠の中で眠るのだと教えられたが、閉鎖された真っ暗闇に動悸が止まらず、教えに反して広々とした床の上で身を縮こませて眠っていた。

空が白んで来るのを待って、もぞもぞと掛布を被ったまま縁側にまろび出る。
空気が澄んでいて、心地よい。
いまだ、宵闇にも慣れない自分の眼には、朝日が染み入る程に眩しい。
(うぅ、眩しい…。)
もう少しだけ、人気のない縁側で微睡む。
(慣らさないと…。)
逸る気持ちを抑えつつ、少しずつ庭先に視線を寄せて、明るさに慣れようとする。

起床時間までは、まだもう少し余裕があるはずだ。

7/31/2025, 11:45:18 AM