まにこ

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人からの評価がどうも気になってしまう質のようだ。
「上手く立ち振る舞いができたかな」「あの人に嫌な思いをさせてしまったらどうしよう」
その性質は自分の作る創作物に対しても同じである。
「上手く書けたかな」「この作品が誰かに不快な思いを抱かせてしまっていないだろうか」
それこそ何の評価も得られないことだってザラにある。
「あの人みたいに上手くできない」「何だか置いていかれているみたい」
私はじりじりした思いを抱えたまま、何の気なしにテレビをつけた。
「紫式部の書く源氏物語、これが当時はとてもウケたんですよねえ」「今では古典の授業で出てくるだけでも難しくって、何なら学生に疎まれることもあるというのに」
目から鱗だと思った。今まで張り詰めていた自分の身体が気持ちが、しゅるしゅる萎む風船みたいに力が抜けていくのを感じた。
何だ、人からの評価も千年経てばこんなにも変わっちゃうんだ。そんなら大衆の反応なんて取るに足らない物じゃないか。
「人の評価を気にせず、自分の心の赴くままに書きたい物を書けばいい」
ようやっとこの言葉をすこんと私の中に落とし込むことが出来た。創作物なんて結局は自己満で良い。
きっと紫式部だって自分が楽しくて書きたいものを書いていた。そしたらたまたま当時の人達にウケたってだけなのだ。
今こうやって私が書いている文章も、千年経てば評価はガラリと変わるはず。人からの評価なんて、時と共に移りゆくものなんだ。
紫式部には申し訳ないが、他人からの評価という些細なものに振り回されていた自分に気付けて本当に良かった。

9/3/2024, 9:34:17 PM