一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→短編・24―TWENTY FOUR ―

13:00―
「やり切れねぇな」
 目の前の無残な現状に彼はため息を吐き出した。状況を吹っ切ろうとするニヒルな笑みさえ浮かべてしまう。
 それくらい、事態は取り返しのつかない様相を呈していた……――。
「イヤ、やり切れよ」
 即座に友人から冷静な指摘が入った。
 先程までのクールさを捨て去り、彼はモゴモゴと口を動かした。
「でも今日8月31日だしぃ」
「だから?」と、さらに鋭いツッコミ。
「あー、っと……。ニンゲンって完璧じゃないしぃ」
「俺、完璧とか関係なく終わってるけど?」 と厳しい友人の絶対零度に近い視線が刺さる。
 目の端に映る、国語、算数、その他諸々の手つかずの宿題プリント。
「夏休みって『休み』なんだから、宿題出すのマジで意味不明!」

 2学期最初の登校時間まで、残り19時間。
 
〜次回予告〜
 14:00。
 戦慄のマザー・サンダー。
「お母さん、何度も訊いたよね!? ちゃんと宿題やってんのかって!!」
 絶体絶命の主人公! さらに白紙の絵日記が背後から忍び寄る! 彼はこの難局を乗り越えることができるだろうか!? 

テーマ; 不完全な僕

8/31/2024, 3:45:54 PM