今も瞼の裏に、チリリと散る火花をみる
赤く染まった空
遠くで響く乾いた銃声
煤と涙で汚れた幼い妹の顔
すがる様に伸ばされた小さな手
迎えにくるまでここを出ては駄目だと、自分たち兄妹を納戸に押し込んだ父母は、その後どうなってしまったのだろうか
あの夜から、随分と月日が経った
日々は過ぎる
まるで何事もなかったかの様に
でも
忘れられないのだ
忘れてなるものか
いまだチリチリと燻る火種が
身体の内で火花を散らしているのだから
薄く目を開ける
バチリ、と音がして。
胸の奥で燻る焔が、またひとつ大きく跳ねた。
『消えない焔』
10/28/2025, 9:26:40 AM