夜明け前
夜明け前、なのか……?
薄明かりの中、私は目覚めた。なんだか頭がぼんやりしている。そのくせ身体は妙に軽い。なぜだかわからないが、身体を縛るくびきから解き放たれたようだ。
部屋の中を見回す。特に変わった様子はない。だが、何か大きな変化が自分の身に起こったように思われてならない。
時計を見ると確かに明け方の時間を指している。窓の外に目を向けると、暁の光が東の空を彩っている。
それにしても、この違和感は何だろう。自分が自分でないような、自分はここにいてはいけないというような。
わからない。
私は次の間へと足を向けた。そして、部屋の入口でどきりとした。人影がある。しかもそれは普通の状態ではない。
人影の首には縄がかかり、その先は部屋の欄間に結ばれている。全身はだらりとどこにも力が入っておらず、足は宙に浮いている。
私は全てを思い出した。これは私だ。そうだ、私は昨夜ここで首を吊ったのだ。
9/13/2023, 1:25:56 PM