台風が過ぎ去って
私の住んでいた街は沈んだ。
私はまだそれが現実だと思えなくて
街の上を呑気に泳いでた。
台風が持ってきた水は
あまりに綺麗すぎて
氾濫した川も池も、
全てが透き通っていて、
街が泳ぎながら良く見えた。
なんだか自分が雲になったみたいで
嬉しくて
くたくたになるまで
ずっと泳いでた。
疲れすぎて
今度はかろうじて残っていた
ビルの屋上で
べちょーっと寝そべった。
台風が嘘かのように
青空と白い雲ばかりで
街は水と空で
青く照らされていた。
雲の影がよく見える。
私はこのまま避難できなくても
いいと思った。
ずっとここで
雲の影を、
青い街を見ていたいと思った。
"Good Midnight!"
暖かい陽の光は
私を包んで
街と一緒に
沈めてくれた。
9/12/2025, 3:05:43 PM