みかんユーザー名だった。最も自分らしくいられるアバターの名前だった。姿も知らない人たちから呼ばれるたびに私は「私」になっていった解離したまま消えてしまうような気がしていた私にとって、それは命を救うことに値した。インターネットは宝物になった当時出会った人は今も、本名を知っているのにこの名前を口走る。呼んだ自覚さえないほどに馴染んでいるようでそれがとても嬉しくてたまらない。私は今日も、なんてことない果物の名前に守られている。
12/29/2024, 11:59:39 PM