あるセミナーに行った。
受付で名前を書き、部屋に入ると、うさんくさい感じの人ばかりが椅子に座っていてぎょっとした。
回れ右して帰りたかったけど、大切な取引先の人の紹介だったのでそうはいかず、とりあえず1番後ろの空いている席に座ることにした。
しばらくすると、いかにも偉い人、という風貌の男性がマイクを持ち、低い声で話し始めた。
「理想のあなた、について、今日はお話しして、最後にアンケートに記入していただきます。帰りに、ささやかなプレゼントがありますので、受付でもらっておかえり下さい。」
と、はじめに彼は説明し、かれこれ二時間ずっと喋っていた。
ハッキリ言って、ボクには何を話してるんだか全く理解できなかったのだが、前に座る人たちは、頷いたり涙ぐんだりしていた。異様だった。
終了後、ボクはアンケートに名前を記入し(名前を書くのも、おかしいんじゃないかと思う)、″今まで聞いたことの内容で、大変勉強になりました″とだけ書いて受付の人に渡した。
ちなみに、もらったささやかなプレゼントは、話をした男性の似顔絵が表紙のノートだった。うーむ。
会場をあとにしたボクは、なんだか気分が悪くなって目についた喫茶店に入ってコーヒーを注文した。
シンプルな店内でひっそり流れるクラッシック、でできたコーヒーは甘くて優しい味だった。
ようやくひと息ついて、ふと考えた。
《理想のあなた》って、結局なんだったんだろう???
まっいっか。
ボクにとっては、さっきのセミナーは、それほど大切なことではなかった、ってことなんだよな。
ボクにとっては、今こうやって、ホッとしながらコーヒーを飲めていることのほうが、よっぽど大切で、理想のボクであるよな、と妙に納得したりした。
ああ、今日もおつかれさま☕
5/21/2026, 6:13:44 AM