「今年最後の」
「うぅ……しみる……」
「さーむーいー。誰だよ二年参りしようって言ったやつ!」
「お前だろ」
「俺じゃねーよ」
「誰でもいいよ。もう集まっちゃったんだし」
大晦日。二十三時。
いつものメンバー男四人で、ぞろぞろと近くの寺へ向かう。
「ちょっと早くね?」
「そんなことないんじゃないかなぁ」
「いつ行っても混んでるんだから、いいんじゃね?」
「さむいいいーもうかえりたいー」
「あ、俺カイロ持ってるよ。この前福引でいっぱい貰ったんだー」
「神!」
「あれ、期限切れてね?」
「ほんとだ。いつ貰ったやつだよ」
「えーと、去年?」
「どこが『この前』なんだよ」
「でも使えるよ」
「ああ……カイロじゃなくて、彼女であったまりたい……」
「またお前はそういう……」
「お前らには悪いけど、俺は来年は彼女と二年参りするからな」
「十二月三十日に振られる、に一票」
「じゃあ俺、二年参りの途中、来年が終わる直前に振られる、にこのカイロを賭ける」
「いらねー」
「なんで俺がいつ振られるか賭けてんだよ」
「俺は彼女出来ない、に賭けるわ。つーか、お前ら一応夜中だぞ。静かに歩け」
思えば今年もこいつらとバカなことばかりしていた気がする。
「はー……さむいさむい」
「あ、走ればあったかいんじゃね?」
「それなー。よーい、どん!」
「あ、てめぇ!」
「いきなり始めるんじゃねぇ!」
「お前ら、うるせーぞ!」
出来れば、コレがバカ納めであってほしい。
そう思いながら、俺は寺までダッシュする三人を追った。
──── 一年を振り返る
12/31/2024, 7:46:23 AM