落下していく光を、 ただ見上げている。
掴めないから美しい、 などという綺麗事ではない。
本当は、 掴みたい。
冷えた指先で、 名前の消えかけた体温を確かめるように、 その残響へ触れていたい。
けれど、 永遠はいつも少し遠い。
だから私は、 来ないものを待つ技術ばかり上達していく。
夜更けの静かな窓。 飲みかけの水。 秋の曇天。
返信の来ない画面。
眠気と感情の境界が、 ゆっくり曖昧になっていく頃。
世界が、 完全にはこちらを向いていないと知りながら、
それでも微かな温度を拾ってしまう。
それは、 深海へ差し込む細い光に似ている。
届かない。 留まらない。
触れたと思えば、 もう輪郭はほどけている。
それなのに、 毎回ちゃんと傷つく。
毎回ちゃんと、
「今度こそ」を、 懲りもせず微量に信じてしまう。
その愚かさを、 自嘲しながら、 まだ捨てきれない。
刹那とは、 消えると知ってなお、
感情が手を伸ばしてしまう、 その反射のことなんだろう。
題 刹那
4/28/2026, 11:07:50 PM