ある春の朝、登園途中の親子を見かけた。
入園したばかりなのだろう。
真新しい制服を着た年少くらいの男の子が、ママの自転車の後ろに乗りながら、走行音に負けまいと大きな声で何かを叫んでいる。
『パパのママは誰でしょうか?! 』
謎かけのように発していた。
急いでいるママは応じる余裕がなく、
「そんな場合じゃない」という様子でペダルをこいでいた。
大きすぎて、背景に溶ける声だった。
それでも問いだけが、何度も繰り返されていた。
返事はなかった。
『―――正解は、ばあばです!!!』
題 耳を澄ますと
5/4/2026, 10:17:06 AM