まさる

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荘厳な寺院らしき
建物の中にいる夢を見た。

いかにも僧侶な風貌をした若者が
中を案内してくれた。

寺院の奥には
凄く天井の高い広場があって、
ローマンコンクリートを思わせる
白く大きな支柱が何本かあった。
それはまるで大木のようで、
あまりにもアジア系の寺院には
不釣り合いに思えた。

中央の台座にはお爺さんが座っていた。

「あそこにおられるのが、
齢300歳を超える我らが教祖様で
あられます」
と、若い僧侶は自慢げに語る。

「歳をとった方は貴重な存在なのです。
なぜなら知識の宝庫ですから」

若い僧侶が
「なんでも聞いてみなよ」
という感じで親指を上げた。
僧侶らしからぬチャラ男っぽさが
少し私をイラッとさせる。

教祖様は穏やかな顔で
「なんでも聞いてみなよ」
と言ってきた。

私は特に聞きたいことが無かった。

しかし、何も聞かないことは
失礼だと思い、思案した。
どうしても思いつかなくて焦った私。

そうだ!
と思いついたように、
私はポケットからスマホを取り出した。

「300歳超えた人にする質問」
と私はAIに質問した。

教祖様をチラリと見ると、
顔面蒼白でガタガタ震えている。

あっ…やっちまったな…
と、私は思った。

薄れゆく夢の中で、
教祖様が座っていた台座に
私のスマホがチョコンと
置かれているシーンが映る。

今まで神のように崇められていた
寺院内の高齢者が若い僧侶から
軽蔑の眼差しをうけているシーンに
切り替わる。

申し訳ないことをした。

9/22/2025, 1:52:53 AM