白いコットン

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先の見えない、大変大きな門をくぐって行く。

しばらく 何とはなく進んでいたが、

コンクリートの四角い部屋に 迷い込んでしまった。


薄暗い部屋には よくわからない物が多数。

次の部屋への ドアも廊下もない。

入り口… しか ない ⁈

来たところから 引き返すしかない。

( 焦るな、、焦るな〜… 深呼吸〜… … )


やがて 前方がぼや~っと見える 仄かな明るさの中へ

持っていた灯りで 目を凝らしながら進む。


どのくらい歩いたのか

長いような 短いような…


手や顔に 僅かな風 爽やかな空気の流れを感じた。



ここは 誰もが必ず通り過ぎる “人生 ”

経験の場、現世。


「コンクリートの壁・廊下から 風を感じる事が

 出来たのだな、この僅かな風を。

 良いであろう。 」


やがて広い草原に出たその者は、

穏やかな春風を感じながら

一層上段の高次、次の世へと向かっていった。


              〈 風を感じて 〉

8/9/2025, 10:01:04 AM