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まっすぐな道を歩いていく。
周りは白い草原。
さらさらと音を立てて揺れている。
雪や霜ではなく、
草そのものが白いようだ。
道は白っぽい黄色。
空は妙な色をしていた。
淡い紫色だ。
雲は濃い紫で横にたなびいていた。

ひたすら歩いていくと
白い石塔があった。
台座の上に長方形の石が載っている。
まるで墓だなと思う。
ただ、それにしては石材が変だ。
なんとなくだが、珊瑚で、できているのではないかと思う。
白くて、ポツポツと穴が空いていた。
ついつい台座の上の石を撫でてしまった。

すると水音がする。
ぽちゃん、ぽちゃん。
どこからか、水がもっているのだろうかと思って、石を触っていると、
台座の一部に穴が空いている。
拳ぐらいの大きさだ。
そうっと覗いてみると、その向こうに、水の溜まったところがあって、粗末な小舟に
綺麗な女と髭もじゃの男が向かい合って乗っているのが見えた。
しばらく見ていると
水音は、小舟に荒い波が当たって、跳ね返って出ているようだった。
綺麗な女も髭もじゃの男はどちらも疲れているようで顔を伏せ、何も喋っていない。
何か起きないかなぁとしばらく眺めていたが
波がぽちゃんぽちゃんと叫ぶ以外に何も起こらないので、

穴の向こうに息を吹き込んでやった。
すると波はさらに大きくなり、
小舟のへりを乗り越えようとしてくる。
髭もじゃの男は少し狼狽えた様子を見せ、綺麗な女に何か低く叫んだ。
息がを吹き込むのをやめると、小舟の揺れは少し落ち着き、2人も、ほっとした様子だった。

またぽちゃんぽちゃんと波の音だけになった。
つまらんなと思って、
今度はふうふう続けて息を吹き込んだ。
小舟はクルクル周り、波はざぶざぶ、小舟の中へ入り、髭もじゃの男と綺麗な女は抱き合った。
そうそう、これでいいのだと思って、最後に、満足のため息を吹き込んだ。

その最後の息が向こう側に届くと
船は真っ二つに割れて、髭もじゃの男と綺麗な女は
あっという間に沈んでしまった。
後には波だけが残った。

えらいことをしてしまったと穴から顔を上げると、
白い草原の中だった。
冷や汗をかいている。急いで元来た道を戻ることにした。
ただ、行きとは違って、
誰かこちらを見ている気がする。
ちょうど、頭の上の方。
なんだか急に風が吹いてきた。
なまぬるく、生臭い風が、気まぐれに。

こんな夢を見た。





1/23/2023, 10:29:59 AM