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昔、いわゆる「ラブレター」をもらったことがある。
すでにお付き合いはしていたけれど、何かの折りに(何かは忘れた)見開きのカードをくれた。
そこには、あらためて私への好意が綴られていた。
嬉しいような恥ずかしいような気持ちで、引き出しの奥にしまっておいた。
やがて季節はめぐり、その人とは別れた。
あの時もらったカードは、しばらく引き出しの中で眠ったのち、処分されることになった。
字面、文章、それらは当時の二人の季節を思い出させる。いろんなことがあったなぁ。でもそのカードは、もう過去の二人だ。取っておいてももう元には戻らない。手元にあるということは、いつまでも思い出に浸っていることになる。
私たちはもう違う道を歩き出した二人だ。何ともいえない気持ちを抱え、カードを破り捨てた。
あのカードのこと、あの人は覚えているだろうか。まあどちらでも良いけれど。

               「隠された手紙」

2/2/2025, 11:22:59 PM