さくら ゆい

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【愛情】

2月14日はバレンタイン、好きな人に愛情を込めてチョコレートという菓子をプレゼントする日である。
私も興味の無い同級生に3枚の板チョコレートを貰ったは良いものの、どう処理しようかと頭を悩ませながら家に帰ると妹が駆け寄って来た。

「お姉ちゃん、その板チョコ持ってきて欲しい!手伝って欲しいことある!」
「良いけど、手伝って欲しいことって……あれ?牡丹さん、どうしたんですか?」
「実はね……?」
「牡丹さんが陽稀くんっていつも日向ぼっこしてる男の子にチョコ渡して告白したいんだって。でもさ私達チョコに興味無いけど毎年チョコを渡されるから、今年はそれに消費する事にしたから!」
「ありがとうございます……」
「まあ良いけど、そういう事は連絡してよ!言ってくれたらもっと買ってきたのに」

牡丹さんという女の人は私の一番上の姉の大学の同級生で、陽稀くんという男の人に恋をしている。話を聞きながらチョコレートを溶かしていると一番上の姉が大学の講義から帰ってきた。

「ただいま〜!って牡丹がなんでいるのよ?」
「陽稀くんにチョコ渡して告白したいんだって。だからいらない板チョコ溶かして作ってんの!」
「あんた達、それ早く言いなさいよ!」

姉は文句を言いながらも牡丹さんに協力してくれた。しばらくしてチョコが出来上がって、牡丹さんの身だしなみも彼好みにして牡丹さんは「陽稀くんを私の彼氏にします」と言って告白をしに行った。

その後牡丹さんと陽稀さんはお付き合いを正式に始めたようで二人はいつも幸せそうに近所を歩いている。
そんなバレンタインにひとつの愛情が功を奏した話。

11/28/2024, 10:38:46 AM