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「おにぃーさん、世界ぶち壊しちゃおうよ」

笑顔で言う女子高生は僕に向かって手を伸ばす。顔は笑っているけれど、目が笑っていない、とはよく耳にする言い回しは今の状況によく似ている。違うところは笑っていない瞳は明日への光すら見ることができないほどに深い淵のように真っ暗で、洗脳された人間のようにぐるぐると渦を巻いて見えた。

「断ったら?」
「死んでもらうしかないね」

手のひらから火の玉を生み出した彼女はニコニコしている。
かつて、人狼を殺すために神と契約した、生まれながらにして炎の能力を持つ処刑人。
人狼を殺すためだけに生きてきたヒューマノイドロボット。

残念だ、と思う。色んな意味で。

「自分の思い通りにならないからって癇癪起こすなよ、ガキ」

図星を突かれたガキは顔を真っ赤にして炎の手を俺に振りかざそうとする。真っ暗だった瞳に浮かぶのは憤怒を表す赤い光。

なんだ、感情まだあるんじゃないか。

12/15/2025, 11:27:20 AM