水晶

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『たった1つの希望』

このうどん屋もそろそろ50年。
ばあさんと2人必死で働いて来た甲斐あって
連日客足の絶えない店になった。
だが体力の衰えには逆らえず
近々店の進退を決めなければならない。

そこでふと思い出したのが孫の悠人だ。
小さい頃は店によく食べに来てくれた。
うどん嫌いの1人息子とは違って
「ぼく、つるつる大好き」
「大きくなったらぼくもお店屋さんになる」
と言っていた。やっぱり悠人しかいない。
たった1人、じいちゃんの希望の光は悠人だけだ!

「もしもし、あ、お義父さん、ご無沙汰して
おります。はい‥皆元気にしています。
え?悠人ですか?悠人は随分前に学校を卒業して
今は念願のそば屋になりました」

3/3/2024, 12:21:45 AM