つっち

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「空恋」

空に恋する、春夏秋冬。

春の空、水色の絵の具をさらに薄めたような淡い色は
薄い雲との境界線が曖昧で。
眺めているこちらも、一緒に溶けていきそうな
この美しい空の一部になりたいと思うほど。
温かい日差しと、まだ少し冷たい風と共に、淡い桜が空に舞う光景は、美しい淡い春の空。

夏の空、広く広がる真っ青な空と、真っ白な雲。
季節の中で、1番空が広く見える夏。
強い日差しが視界を狭めても、青い空だけはくっきりと、この目に映る。
青い空のキャンバスの前では、白い雲も、黄色の向日葵も、草木がより一層鮮やかにうつる。
全てを鮮やかに、美しくみせる、夏の空。

秋の空、日没の空は緋色が薄く伸ばされ、グラデーションをつくる。時計と夕日が、秋の始まりを実感させる。
朱色、緋色、紫といった様々な色が混じりあう。
その前に映る、風に靡くススキは、そんな色達を混ぜるパレットの上の筆の様。
美しく感じる色を自然が作っている。
夏の余韻が残る生暖かい風と共に、ススキのすれる音がこの身に溶け込むように、浸透する。
五感と共に、すべての美しいものが溶け込む秋の空。

冬の空、青には遠く、白いような灰色の空。
朝と夜を溶け込ました不思議な色をしている。
四季の中で、一番色を感じさせない空ではあるが
その分、何よりも太陽の日差しを反映し
この世界を美しく照らしている。
どんなに風や空気が冷たくても、空から降り注ぐ光は、平等に寄り添い、温かさを思い出させる。
光の温かさと儚さが混じりあった、美しい冬の空。


7/6/2025, 5:27:13 PM