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《月夜》
三日月の真夜中。
断末魔のような金切り声が聞こえた。

────青い館は一夜にして赤く染まっていた。

運良く私は生き延びたようだ。
お父さんもお母さんも死んでしまった。
私はベットに蹲って震えることしか出来なかった。

私は都会にいる探偵に話を聞きに行った。
 犯人を見つけたい事よりもあの館から逃げ出したかった。

「なるほど。それでここに来たのですか。」
探偵はコーヒーを飲みながら私の話を聞いていた。
私が何か言う度に考えている素振りを見せていた。

「現場に行きましょう。何かあるかもしれない。」
探偵が言った。
私は行きたくなかったが頷くことしか出来なかった



私たちはあの館に向かった。


言葉には表せない惨状。
既に見たはずなのに喉も目も熱くなった。

昨日のことを思い出してしまう。

三日月の夜に襲われたのは家族が私を除いて殺される事を暗示していたのかもしれない。

私は汚れていないベットで休ませてもらった。

捜索は終わり。
成果はほぼ無かった。

探偵が言った。
「今度は貴方を狙いに来るかもしれない。
 護衛をつけましょう。」

私は断った。
名案を思いついたから。

新月の夜。
私は家のベットで寝ていた。

ドアの外から足音が聞こえる。
ドアノブを引く音が聞こえる。
気配を感じる位置まで来た。







私はナイフを取り出し刺そうとしたが止められた。

奴はそのまままの勢いで私の心臓を刺した。

胸に温かいものを感じる。

意識が朦朧とする中、声を振り絞って言った。









「何故...ばれた。
何故......お前がここにいる...!」


私は血の着いたナイフを抜き笑って見せた。

「貴方の演技は筒抜けなのよ。
さようなら。 探偵さん。」



ナイフを捨て、ふと空を見た。
「あら?雲に隠れてただけで今日は満月だったのね」

人を殺した私に人生を送る資格はあるだろうか。
でも、もしあるのなら私は家族も分を精一杯生きたい。
独りでも自分の生き方でゆったり生きていきたい。




知らなかった。
こんなに世界が輝いてるなんて。


知らなかった。











人を殺すことがこんなに楽しいなんて

3/8/2024, 6:33:59 AM