『夫婦』2023.11.22
今日はいい夫婦の日らしい。
毎年、既婚者組で集まって、奥さんをねぎらう会をしている。
子どもは少しの時間だけ預けて、夫婦水入らずの会というわけだ。
小さい会場を借りて、美味しいご飯とお酒。そして、俺たちが一発芸のようなものを披露する。
今年は、元高校教師だったやつが歌を作ってくれた。
彼らしい誠実で真っ直ぐな愛の歌。彼にデモと歌詞をもらったとき、こっぱずかしいと思ったものだ。
俺たちだけで歌の練習をして、ピアノ演奏も曲を作ってくれた彼が担当してくれた。
人前で歌をうたうことは初めてではない。家族の前でも歌ったこともたくさんある。だが、あらためてこんな愛の歌をうたうのは、やはり、照れてしまう。
愛している、なんて言葉は使わない。ただ、感謝を伝えるだけのその歌詞が、ジンと染み渡り、歌い終わるころには俺たちは号泣していた。
涙をぬぐいながら、俺たちは奥さんに向けて手紙を送る。それは感謝の気持ちでもあり、熱烈なラブレターでもある。
愛してるぞ。好きだぞ。ずっと一緒にいような。これからもよろしく。
そんな言葉が散りばめられたラブレターを読んで、チュッと頬などにキス。
きゃあきゃあと恥ずかしそうにする奥さんと、同じように恥ずかしがる夫側を見て、それ以外の連中が囃し立てる。
奥さんからも、俺たち以上の熱烈なラブレターをもらってまた照れてしまう。
今日は、いい夫婦の日。
この日だけは、夫婦ではなく、ただの恋人同士に戻ることができるのだ。
11/22/2023, 1:48:52 PM