小絲さなこ

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「指を絡めて 花火」


虫の鳴き声が響く夜。
ドキドキしているのが、バレてしまいそうな距離。
大丈夫。
隣の幼馴染は、花火に夢中で気がついていない。
どこかの神社の例大祭で打ち上げられている花火。

いつまでも暑かった秋は、やっと気温を下げる気になったようで、ここ数日一気に涼しくなった。
だからだろうか。
幼い頃のように、こうしてくっついて座っているのは。

「冷えてきたな」
「そうだね……」
「窓、閉めるか」

立ち上がって、窓を閉めて、また私の隣にくっついて座る。
そうするのが当然だというように。


囃し立てるような虫の鳴き声。

そんなんじゃない。そんなんじゃ、ない。
彼氏彼女の関係ではないはずだ。

それなのに、どうして私たちはどちらからともなく指を絡めるのだろう。
そうするのが、当然だというように。


どういうことなのか、聞きたい。
だけど、聞かなくてもいいような気もしてる。

今さら、言葉で確認するようなことだろうか。
お互いの体温が心地よいことは、わかりきっている。


窓越しの締めの花火。
近づいてくる唇に、瞼を閉じる。



────秋恋

9/21/2024, 3:35:28 PM