ふうり

Open App

ビルの屋上から下を見下ろす

皆色とりどりの傘を身につけ

各々の目的に沿って歩いていく

洪水のような津波のような

色んな色の傘がうねっていた

「あ」

ふと声を漏らす

見覚えのある傘があったからだ

あの人は…

よく見ようと目を凝らす

仲良さそうに話し合う男女二人

あの傘は…

私が彼にプレゼントした傘だ

「やっぱり」

私の心の傘が真っ赤に染まっていく

数秒の沈黙の内

ずっと手に持っていたそれを下に投げた

この傘を全部真っ赤にする為に

お題『色とりどり』

1/8/2024, 1:13:54 PM