火を、灯す。日が経つ事に無数の炎の幾つかは火が消えて、それでもまたいくつか新たに火は灯る。最初は柔らかに、弱々しくいつ消えてもおかしくないほどに頼りなく揺らぐ炎も、時が経てば美しく、個々に煌めく。
色も形もそれぞれだ。互いに合わさりふつふつと燃え上がるものもあれば、一人孤独に、静かに灯り続けるものもある。
それぞれに美しい。それぞれに、尊い。
――あぁ、そんな勝手に消えてしまうな。
私とて何も出来ぬことは歯がゆい。だからどうか消してしまうな。
照らしている。誰かを灯さずとも、そなたは自分の手元を照らしている。周りを大地を、足元の蟻でもなんでもいい。そなたは周りを照らしているのだ。どうか、醜いと自分を罵るな。充分に眩ゆく、尊い。だから、消してしまうな。
いいだろう、誰かを照らさずとも、何かを照らさずとも。そなたの煌めきを私は美しいと知っている。それだけではダメなのだろうか。美しいのだ。誰一人、違わず。だからどうか消さないでくれ。
誰一人、消えてしまうのも私はひとつ残らず全てが惜しい。
どうか、その時まで消えないでおくれ。
11/19/2024, 1:08:58 PM