夜兎

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「もしも世界が終わるなら___何がしたい?」

クッションを胸に抱えてそっと問いかけた。
斗真は、虚を突かれた顔をしてから、ふっと吹き出す。

「突拍子もない質問だね。うーん……そうだな」

顎に手を添えて悩む仕草がどうしようもなく愛おしい。
きっかけは、ほんの少しの好奇心が疼いたから。
斗真が最後に望むものが知りたかった。

「朱莉と一緒にいたいかな」

「……え?」

世界が反転する。
目に飛び込んできたのは白い天井と彼の顔。
戸惑う私を優しい手つきで押し倒し、斗真は何も言わず微笑んだ。

「最後の時まで一緒にいてくれないのか?」

いつもより低い耳に残る声。
滲み出す色気、頬に触れる手の熱さも意識せずにはいられず、呼吸が苦しくなるほどときめいてしまう
何度、私を惚れ直させるつもりだろう。

「……そんな聞き方、ずるいわ。あなたを拒めないって、知ってるくせに」

いつの間にかクッションはベットの端へ。
代わりに私は、斗真の腕の中に閉じ込められる。
今夜は眠れない。
そんな予感が頭をよぎった。



#もしも世界が終わるなら

9/18/2025, 12:39:40 PM