泉羽

Open App

あぁ、そうか… 

「君はもう、そこには居なかったね。」

毎朝毎朝、起きる度に思い出す。
毎朝毎晩、居ないと分かっているのに、どこかで期待をしている僕がいる。

「そろそろ、君の所に行ってもいいかな。」

(………ぃで)

「もう限界なんだ。」

(…ないで)


もう君には届かない独り言を呟く。


ふと、耳元に気配がした。

(こないで)

「………」

(来ないで)


懐かしい君の声だった。

「ごめん。それは無理だ…君は僕にこの先一生苦しめって言うのか…?」

(………)

「ごめんね。」


僕は柵に手をかけた。



#2 『逃れられない呪縛』





5/23/2023, 2:07:36 PM