世界に一つだけ
私の孫娘はアクセサリーに興味を持つお年頃。
おばあちゃん、これは何?これは?と、
使い方を教えてもらおうと一つ一つ小さな手に取って聞いてくる無邪気な姿。
それを見ているだけで癒される
「ねぇ、これは?」
持ってきたのは小さな花の入ったイヤリング
中に入っている液体と一緒にゆらゆらと揺れるそれを両手で大切そうに見せてくる
「触っちゃだめよ」
私の娘がその小さな手から小さな物を取り上げる
「いいのよ、」
娘から受け取ったそれを、小さな手に乗せてやると嬉しそうに目を輝かせた
「これはね、あなたのおじいちゃんがプロポーズしてくれたときにくれた花なの。」
「ぷろぽーず?」
「私が一番キレイだったとき。世界は真っ黒で、絶望に溢れていた。
けど、おじいちゃんはそれに負けないくらいキレイな花をくれたの。」
「そのお花がこれ?」
「そう。」
「でも、このお花見たことあるよ?
先生がこれは雑草です、って言ってた!」
「ちょっと!!」
娘は呆れたように怒ってもう一度取り上げた
「それでも、私にとっては大切なお花なの」
_あなたもいつかわかるわよ
あれから10数年が経った。
それでもあの日のことはよく覚えてる
あの後すぐにおばあちゃんが死んじゃって、私があのイヤリングをもらった。
おばあちゃんが生前にそうしたいと言ったそう。
あの時、お母さんは私には触らせてもくれなかったのよ。なんて疲れた顔で笑ってたっけ。
そして今夜。
プロポーズをされた
決して大きくはないけれど、飾らないキレイな花。
私はおばあちゃんに見せてからイヤリングにしてみた
私だけの、
世界に一つだけの「イヤリング」
きっと孫に言ってあげるの。
あなたもいつかわかるわよ
って。
『世界に一つだけ』
9/10/2024, 4:11:05 AM