『冬晴れ』
僕は目を覚ました。変な夢を見て変な汗をかいている。まだ眠い、起き上がりたくない。時間は…もう昼に近い。三時近くまで起きていたからだろうか。このままいつものように昼ごろまで寝るのも悪くはない。しかしそうはならなかった。
窓から差し込む光が綺麗だった。透明で、刃物のように鋭くて、触れてしまえば消えそうなくらいに綺麗なのだ。心にこびりつく惰性とは裏腹に、まるで硝子のように窓からこの部屋に侵入していた。
僕はその光を触りたくなった。魅力的、といえばそうなのかもしれないが怖いもの見たさ、という感情もあった。
僕は布団から起き上がり、その光にそっと触れた。
何もなかった。
そこには何もなかった。当然指は切れないし、刺されるような痛みもない。そこにあるのは光にあたって白くなった僕の指。何も変わらない僕だった。
僕は軽く絶望した。落胆した。世界はこんなものなんだと、カッコ悪い主人公みたいに嗤った。
せっかく起きてしまったのだから散歩をしよう。昼頃には戻れるくらいの短時間。この光を全身で受けてみよう。何一つ心配は要らない。そんなことで僕は変わらないからだ。
1/5/2026, 11:44:46 AM