未知亜

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愛する人の声を聞き、
愛する人の手に触れて、
愛する人の生きる世界で、
わずかな時をともに過ごした。

泡になりたいわけじゃない。
命を差し出したつもりもない。
好きな気持ちを消せなかっただけ。

静かな海にこぽりと浮かびあがる小さな泡に、足を患った美しい少女の面影を彼は思い出す。寄り添う妻の腰を、抱いた瞳で。

『泡になりたい』

8/6/2025, 9:41:04 AM