【太陽の下で】
私は、空が好きだ。理科が好きだ。
きっかけは、夕焼けを画面の中に閉じ込めたあの日。
「空、好き?」
中学の時、先生に突然言われた。
「…はい!」
「そっか」
担任でもないのに、あの先生は気にかけてくれた。
本当に、楽しかった。
お父さんにカメラを貰ってから、旅行に行くたび風景をたくさん撮るようになった。大好きな空を入れて。
中でも太陽は特別だ。夜の月や星座を見るのもいいけれど、無数にある恒星の中、一際目立つ情熱の星がやはり好きなのである。
写真は、思い出を一枚に残しておける。ずっとずっと、自分だけの宝物にして。
あれから十年と少し。
外に出る授業は、自分含め皆心が踊る。
「絶対太陽見ちゃダメだよー、本当に目見えなくなるからねー!」
「はーい」
黄色い帽子を被った子どもたちが、興味津々に様々な物を拡大して見始める。
次に、黒い画用紙を用意する。日光を集め、みんなの目が釘付けになる。微笑ましい。
「うわ、すっげー!」
「これでさ!料理とかできる!?」
「流石に無理でしょ」
誰かが言った。全員が笑う。
算数が嫌いな子、絵を描くのが苦手な子、歌を歌うのが大好きな子、みんなを笑わせるのが得意な子。
個性豊かで、あたたかい。
それぞれが新しい発見に夢中で…
自分も昔、こう見えてたのかな。
何かに夢中な人間の瞳ほど、眩しいものはない。
あの星に負けないくらいに。
自分たちを照らす太陽の下で、今この北半球で、一体どれだけの人が笑っているのか。
こちらでは夜が来ても、世界のどこかで朝が来る。
遠く熱い、あの存在さえあれば、この地球からは一瞬たりとも笑顔が絶えないのだろうな。
そんなことを考えながら、今日も私は、写真を見返す時間を終えて授業準備をする。
11/25/2024, 2:48:48 PM