江戸宮

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「ねぇ、貴方はもしタイムマシーンがあるとしたらなにをする?」

急に真面目なことを問われたせいで白餡の饅頭にのびた手が行き場を失ったように揺蕩う。
タイムマシーンがあったら、なんて誰しも一度は考えるけれど、その実誰も真剣に考えたことなんてないだろう。

「じゃあ…3年後ぐらいの未来にいきたいです、」

「へぇ、なんでまた3年後?」

「それはなんとなくですけど…未来も先生とこうしてお喋りしてたいなぁって」

「……そう、…あんまり他の人にそういうこと言っちゃだめだよ」

そう言われて自分が口にしたことの重大さに気づいた。
そんなの未来もあなたといたい、って告白してるようなものじゃないか。
穴があるなら入りたい、なんて場面本当にあるんだ。
でも、嘘は言ってないし、先生とずっとこうしていたいのは事実であって……。

「…せんせいにしか、…いいません、……」

タイムマシーンがあるなら、あんなことを口にしてしまう前に戻りたい。
……でも、先生がちょっぴり嬉しそうな顔をしてるからやっぱりタイムマシーンはなくてもいいや。


2024.1.22『タイムマシーン』

1/23/2024, 9:21:23 AM