星空
とある魔法郷は星が綺麗なことで有名だった。
日が落ちればすぐに楚々とした星が顔を出し、暗くなればそれこそ細かな宝石を散りばめたような、美しい星空を見ることができる。
郷の外に住む者たちは、こぞって星を見ようと郷に押しかけた。しかし、郷の者たちはそれを拒んだ。
理由を聞かれた郷の者は、口を揃えてこう言う。
「死んだ者は天に登って星になるという話を、聞いたことがないのか」と。
ある日、郷に住む少女が一人亡くなった。郷を治める長の息子の、攻撃魔法の練習台にされたのだ。
郷の者は、またか、と呟きつつも涙を流し丁重に供養する。
郷の空に、また一つ星が増えた。
とある魔法郷は星が綺麗なことで有名だった。
7/5/2023, 12:02:04 PM