木田

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数年前に色んなことがあって、勢いで小鳥を飼い始めた。
コザクラインコ の雛。
当時は小鳥の知識が全く無くて、今にして思うとあまりにも無謀な決断だったと思う。
どう考えても万人にお勧めできないスタートだった。

何の知識もないところからネットと本で勉強し、まださし餌だったインコに3時間ごとに餌をやり、気づくとインコは飛び始め、今では立派な成鳥になった。
呼び鳴きも激しい、甘えん坊だけど勝ち気なラブバードだ。

小鳥について何も知らなかった時、小鳥は表情も無く感情も汲み取れないと思っていた。 
ましてコミュニケーションが取れるなんて全く思っていなかった。

ところが、育てていくうちにそれは全くの間違いだと気付かされた。

真っ黒の瞳はとても雄弁だ。
興味のあるものにはキラキラと輝き、驚くとハッとする。
怒れば目は三角に吊り上がって、ピィピィと鳴きながら猛然と抗議する。
じっと見つめると、真剣にその瞳は私を見つめ返してくる。
こんな澄んだ瞳があるだろうかと思う。

永遠の二歳児か、三歳児と言われるコザクラインコ 。
何にでも興味を示し、人と離れると必死で呼び、指先で頬をかいてやると満足そうに目を閉じて「麦目」と言われる顔になる。
かいてやるのを止めると、ぱちっと目を開いて、真っ黒な、澄んだ目で私を見上げる。

小鳥を作った神様は、きっと最高傑作だと思っただろう。
こんなに可愛らしく美しい生き物がこの世にあることに感動しかない。

真っ黒な澄んだ瞳と見つめ合って、私は今日も神様の最高センスに感謝する。




7/31/2022, 7:23:03 AM