いくら太郎

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相合傘

あの子はいつも放課後に1人で黒板を使う。細くて白い指はマメだらけで、爪も少し黒くなっている。毎日何時間もシャーペンを握りノートの上を滑る手。この子はあまり目立たない子だから僕に触れるのは毎日この時間だけ。いつも書くのは西日が差し込んで少し色の変わったところ。そっと親指と人差し指と中指が添えられる。7画。7画。一息ついて、控えめに1画。割れないように気をつけてくれる。そういう子。どんな顔して書いてるんだろうな。僕は何度でも君の傘になるけど君を守れはしないから、いつか君が右肩を濡らせますように。
相合傘が本物になりますように。出来れば僕が消えちゃう前にね。

6/19/2024, 2:50:16 PM