駄作製造機

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【特別な存在】

姉が死んだ。

心の病気を抱えた姉につきっきりだった両親は姉の死を誰よりも悲しんだ。

私はさほど悲しくはなかった。

何故なら私は姉の事が心底嫌いだったから。

姉は年代を経るにつれそのおかしさが目立っていった。

自分は悪くないという被害者意識が強く、自分の非を何よりも認めない。

言葉遣いも荒く、父や母にも平気で暴言を吐いた。

何があっても私や下の妹に責任転嫁。

両親は姉を刺激しない様に私達に言い聞かせた。

『しっかりしてね。あの人はそういう人だから。』

私はそれが許せなかった。

姉は父と母に甘やかされてはいないが、姉が悪い事をしても私達のせいになる。

私は姉が許せなかった。

昔のことばかり根に持って、解決した問題をまた掘り出して来てグチグチ言ってくる姉が。

私は大嫌いだった。姉として認めてはなかったし、同じ空間にいるだけで胃がキリキリして吐きそうだった。

この家族の中で大事にされていたのは、姉だった。

怒らせると暴力的になるし、すぐに過呼吸を起こす。

そして被害者ぶる。

姉が嫌い。嫌いで嫌いでたまらない。

何故なのかもわからない。

家族にとって姉は特別な存在だった。

怒らせるな、波風立たせるな、罵るな。

その全てが自分たちの明日に繋がっていた。

姉がヒステリックになれば私は逃げる様に図書館へと行った。

時には泣きながら向かった事もあった。

何故。何故私はこの様な姉を持って生まれて来てしまっ
たんだろうか。

もういっそのこと私が姉でもいいのに。

だから殺した。

姉なんて、私1人で務まると思ったから。

妹も、仲良くできない姉と時に喧嘩するけど仲良くできる姉どちらがいい?と聞いたら私の方に賛同してくれた。

姉は死んだ。

特別な存在はもういない。

姉は私1人で十分なの。

アンタなんていらない。

ただ1年早く生まれて来ただけの肉の塊が。

妹を怒らせるからこんな目に遭うんだよ。

バイバイ。

家族の特別な存在。

3/23/2024, 10:55:16 AM