つぶて

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 伸びない数字に息をつく。今日もタイムラインには名の知れたクリエイターたちの作品が並び、当然のようにk単位を出していた。
 とぼとぼとリビングに降りると、
「どうした。しおれた顔をして」
 裏庭から父が尋ねた。僕はなんでもない、と答えて外に目を向ける。花壇に咲く色とりどりの花が、僕を笑っているような気がした。
「いつもよく咲くね」
「そりゃあ、世話かけてるからな」
 父はあっけらかんとして言う。
「咲いてみれば堂々としているが、どれもこれも繊細な花ばかりだ。土、水、日当たり、害虫、いろいろクリアしてようやく、ってもんだ」
「簡単そうに見えるけど」
「それは俺が上手くなったからだ。昔は何回も枯れた」
「そう、なんだ」
 僕は少し自信がなかった。
「やめようとか、思わなかった?」
「思った」
 父はちらと俺を見て、それから小さく笑う。
「でもやっぱり見たかった。こいつらがどんな花を咲かせるかをな。咲いてみれば綺麗なもんだ」
 僕は立ち上がった。
「どこか行くのか?」
「絵、描いてくる」
 僕はぱたぱたと階段を上がる。
 瞼の裏、日の光を浴びて輝く花々が僕を待っていた。

6/25/2023, 2:52:11 PM