逃れられない
オレはオレを罰する。
握り拳で自分の顔を殴り付ける。
口一杯に血の味が広がった。
お母さん、御免なさい。
もう、赦して。
今は亡き母親に、
オレは何度も謝罪を繰り返す。
オレはオレを罰する。
鞭で自分の背中を打つ。
背中は腫れ上がり、血が滲んだ。
幾ら自分で自分を罰しても、
記憶の中の母親は、
オレを責め続ける。
…お前が悪い、と。
痛みで意識が遠くなっていく。
このまま、死んでしまえば、
楽なんじゃないか、なんて。
冷たい床に倒れ込んだまま、
一人で嗤ってる、オレがいる。
だって。
生きてる限り、母親の影から、
逃れられない、から。
5/23/2024, 11:51:10 AM