NoName

Open App

「何もいらない」

政略結婚なんて古臭いものが今でも存在するという事実を、私は身を持って知った。実家からの手紙には私に政略結婚をさせるという旨と相手の写真等が同封されていた。会ったこともない何も知らない相手と結婚するなんて虫唾が走る。手紙をゴミ箱に投げ捨て、ベットに身を沈めた。

窓の外に広がる満天の星空、開かれた窓からは冷たい風が吹き込み体温を奪ってゆく。

今自分がやっている事を続けられなくなるのは嫌だ。ずっと昔からやりたくて、ようやく親の許可が降りて家から出られたというのに。

私は所詮蜘蛛の巣に囚われた蝶なのだ

地位も名誉も何もかも捨てて、貴方と生涯を共にしたかった。貴方が私を想ってくれるのならそれ以上は望まない。

4/21/2024, 3:51:36 AM