「誰かいますかー」
どこまで続いているのかわからない暗闇に向かって僕は声を投げた。
ぼおおぉぉん。暗闇の中で反響した僕の声が響く。
ああ、本当に僕ひとりなのか…。
暗闇が孤独と不安を僕に押し付けてくる。
それに反発するように僕は足を前に進めていく。
暗闇はますます濃くなっていく。そろそろ自分すら見えなくなってしまいそうだ。
それでも歩みを止めない。立ち止まればもっと辛くなるのは目に見えていた。
そんな時…
ぼおおぉぉん。
音が響く。なんの音だったものだろう。
孤独をまた押し付けられたとき心が保てるように、どーせ、と僕は希望を押し殺す。
風が響いてるだけだろう。
僕のさっきの声がどこかから跳ね返って帰ってきただけだろう。
どこか岩が崩れでもしたのだろう。
そんな考えとは裏腹に歩みは速くなっていく。
希望を押し殺す理由が思いつかなくなる頃にはもう我慢できなくなっていた。
「おーい!!だれか!!」
出し方など忘れていた大声が喉からはい出てくる。
ぼおおぉぉおおん。
いままでより大きな音が響く。
その先にあるのは…
8/29/2024, 10:50:52 AM