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その風を感じたとき、貴方の眼前に広がるのはどんな景色だろうか、
絶景、見慣れた街並み、あるいは崖を見る人もいるだろうか。
駆け、歩き、止まり、時には後退する人生の道のりで、追い風を感じた時、人は盲目になると私は思う。

追い風を感じた時、それは物事が上手くいったとき、物事が上手く行き始めるだろう瞬間に違いない。
絶景なら喜んで進むだろう、見慣れた街並みなら、軽快に歩み始めるだろう、崖であれ進むことを惜しまないだろう。「進んでしまえ。」そう思ってしまう程力強い風。そう感じた事がある。

そうだ、私は谷底まで落ちてしまった。踏み鳴らす力強い足音、目まぐるしく変わる景色、胸弾む高揚感に五感をすべて囚われ、置き去りにした現実。突如、隔絶された道。気付く間もなく崖から落下した。
追い風をもう感じることは無い。この隔絶された道とも呼べない道で、あの日越えられなかった対岸の崖を上がるために必要なものは
あの日と同じ様な力強い風。

もう落ちることはないだろうか....不安と共に盲目に崖を登る為、
谷風を待つ。

「追い風」

1/7/2025, 11:41:06 AM