ぱらぱらと降っては止みを繰り返し、もう何度目だろうか。小雨が降る今日みたいな日は微睡みの海に漂うのが特に心地いい。カーテンと窓を開け涼しい風と雨音を誘い込むと、眠気が再びやってきた。もうすこしだけ、と意識をさざ波に手放した。
ふと、ベッドが少し沈んだ気がして意識が浮上する。頭に……何か触れているような。気だるげな瞼を持ち上げると、どういう訳か視界いっぱいに虹介がいた。寝顔を思いっきり見られた事が、何故だか気恥しい。
「青にいおはよ」
「ん、おはよ。起こしてくれても良かったのに」
「んーん、きれいだったから起こしたくなかった」
花嫁さんみたい。そう言われて頭に触れているのがレースカーテンだということに気づく。
「そういう事は将来の大事な人に言いな?」
軽く頭を小突いてそう言う。
「さて、今日は何をしようか」
「一緒にお昼寝する!」
額に柔らかいものが触れた。え、まさか。
その後小雨のヴェールに包まれた中すやすやと眠る虹介の横で、与えられた祝福について一人悶々と悩むのであった。
お題:『祝福と小雨』
6/4/2024, 12:27:26 PM