ミキミヤ

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人生の選択っていうのは、目の前にある無数にある扉から1つを選び取って開けていくことだと、僕は思う。扉の先に進んだら、後戻りはできず、他の扉の先にある風景を知ることはできない。


「いやー、やっぱりあの監督の映画は面白いねー!」

楽しげに君が笑う。僕も同意して、同じように笑う。

幼馴染の君と2人で映画を観て、お茶をしながらこうして感想を言い合うのは何度目のことだろう。もう数えることができないほど重ねてきた。それが、いつからか、僕にとって特別なものになっていた。気づいたら、君が好きだったから。
君は、この時間をどう思っているのだろうか。他の友達と過ごすのと変わらない?それとも、何か特別なものを感じてくれてる?
知るのが怖くて、この関係をずっと変えられずにいる。このままでも充分とも思うけれど、本当は変えたい。君の友達じゃなくて、恋人になりたい。

僕の目の前にはずっと、かたく閉ざされた扉がある。本当は鍵を持っているのに、開けずにいる扉。
君に僕の想いを告げれば、扉は開いて、今とは違う景色が広がっているはずだ。でも、その景色が今より良いものかわからないから、僕はずっと尻込みしてきた。


「あのさ、」

帰り道、2人の間に流れる心地良い沈黙を破って、僕は口を開いた。今こそ、君に告げるんだ。そう決意して。


これから告げる言葉は、きっと未来への鍵。その未来が僕の望んだものでありますようにと、僕は強く願った。

1/11/2025, 5:37:25 AM