[青空三高・武道場に続く廊下]
柔道部に所属する井河マスミは部員たちと走り込みをしていた。
その先。突き当たりの引戸が開いて、両手に書類の山を抱えた3人の女子が入って来る…
「わっ!」
マスミは急ブレーキを掛けるように、踵を立てたが、女子の先頭を歩いていた横沢タマキはびっくりして書類をぶちまけて、尻餅をつく。
「大丈夫ですか!」
マスミはタマキの右手を取って起こす。
「すみません。この時間、ここの廊下は貸し切りだったの知りませんでしたf(^_^;」
後ろの女子二人が
「ここを通る方が生徒会室に近いから、つい利用するのよね。ごめんなさい」
3人は生徒会の役員だった。柔道部員たちは落とした書類を拾い上げる。
タマキがマスミにたずねる。
「井河君。目開いてる?寝不足なの?」
「よく聞かれるんだけどさ。集中すると無意識に目つぶってる。でもその方が安定するんだわ」
他の先輩部員が証言する。
「お前、つぶってる時の方が強いぞ。マジで信じられん((゚□゚;))」
ドン引きする場面だが、タマキは一瞬、微笑んだ。
[放課後。とある古本屋]
立ち読みするタマキ。そのすぐ横でスーツの米国人、ジャックも立ち読みする。
「分かりやすいね。収穫あったって顔だよ(-.-)y-~」
「分かります?ジャックさんの予想通り、彼が顕著に伸びてます(^^ゞ」
「心眼が無意識にねぇ。私よりタマキ君の方がワクワクしてるよ」
「今まで退屈でしたから。やっとライバルに巡り会えた気がします(^_^)」
[別の帰り道]
ユウキ「このクラスで只ならないものを感じるのは……横沢タマキね。天然な雰囲気なんだけど、得体が知れないわ(-_-)」
ユウキの勘はよく当たる。後に彼女の経歴に驚かされることになる。13歳で海外の大学を卒業していた。先に"能力"に開眼していて、クラスの覚醒者を見極める役回りをしている。
タマキ「それより"勿忘草"なんて、柄にもなく悲哀モノ読むんですね?」
ジャック「もう、読み始めからネタバレやめてよ~(´・ω・`; 」
2/2/2023, 12:10:01 PM