ミミッキュ

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"街へ"

 初めての場所に興味津々でキョロキョロしている。首を動かす度にハナの後頭部の毛が、鎖骨辺りを掠める。やはり市街地は早朝でも、少なからず人の往来がある。
 今朝の散歩は、市街地メインのルートにした。
 ハナを連れて市街地に来た事は二回程。そのどちらも夜中だったので早朝の市街地を見せてやろうと、いつもより少し時間を使って散歩する為に少し前から計画していた。
 ビルが点在する歩道を歩いていると、路地から風が吹いて頬を優しく撫でていく。柔らかな風でも、広場を歩いている時より寒く感じる。
「みゃあ」
「なんだ?」
 鳴き声に足を止めて視線を落とすと、ハナがこちらを向いて何か言ってきた。
「みゃあ〜ん」
 目がキラキラ輝いている。声色もいつもより少し高い。
──連れてきて良かった。
 手袋越しにハナの頭を撫でる。気持ち良さそうに目を細めて擦り寄ってきた。
「もう少し見てくか?」
「みゃあん」
 ハナの鳴き声を聞いて足を踏み出し、散歩を再開した。

1/28/2024, 11:41:57 AM