星が溢れる。
黒の中から、キラキラと零れ落ちている。
人は死んだらお星様になると、小さい頃誰かに教えてもらった事がある。
あの星の中には、忘れられた人達もいるんだろうか。
容姿も声も忘れ去られ、名前すら呼ばれることの無い、どこにも漂えない人。
例えるなら果てしない海の中の流木だろうか。
いつか荒波に飲まれ潰され折れて、そして海の中に消えていく。きっと、そう。
キラキラ。
夜が闇を連れて降りてくる。
けれど、夜には穴が空いている。どこかから零れ落ちてくる光が、外の世界を教えてくれているようだ。
「ああ。そちらの世界はとても良いところだろう」
星を名前に飾った彼は、導かれるように空へ吸い込まれた。どこにいるかも分からないけれど、黒に負けない色で輝くあの星は、多分きっと彼だと思う。
忘れられなくてもいい、と思う。きっと、忘れなくてもいいんだと思う。あの美しい日々は、私の中の最高の恋だった。最大の失恋だったんだ。
どうか、君を忘れられない私を赦しておくれ。
だけど、君がいない日々に慣れる私を赦さないでいて。
───────
口にしなければ、きっと何を思っていてもいいんです。
忘れなければいけないことは、口にしなければ忘れているも同然なのです。だって私しか知らないのだから。
キラキラしてて、だけど眩しくない優しい光を纏う星は、彼に似ている。
もう二度と会えないけれど、名前を呼ぶことすら多分許されないけど、だからこそ、彼がそれを見て少しだけ後悔をしてくれたらいいなと思います。
生まれ変わりは無くてもいいです。
きっと、生まれ変わってしまえばもう二度と本当に見つけられないから。
3/15/2024, 3:45:49 PM